Q.交渉をしていくうえでのコツのようなものはあるのでしょうか


A.交渉が必要になる場合、大きく分けて二通りあります。一つは、お互いに良い関係を築いていこうというような場合。もう一つは、お互いに対立があって、その対立を解決したい、という場合、です。

 交渉するときはWin-Winを目指せ、とよく言われます。たしかに、Win-Winとなるのが理想であり、特に、お互いに良い関係を築いていこうというような場合は必ずそれを目指すべきであるといえます。
 しかし、お互いに対立がある場合は、その対立が激しければ激しいほど、あるいは、相手に誠意が全く期待できないような場合には、Win-Winを目指すことは難しくなります。詐欺師を相手に金銭の返還交渉をしようというのに、Win-Winの関係を築くなど不可能であることは容易に想像がつくところです。

 では、お互いに対立がある場合、どのような交渉をしていけばよい結果につながりやすいのでしょうか。

 この問いに対して、決定的なマニュアルを示すのは困難だと思います。相手もこちらも人であり、人の性格や置かれた状況というのは1つ1つ違うからです。
 ただし、私が気をつけている点というのはいくつかあります。

 一つは、小手先のテクニックを用いないことです。テクニックを突き詰めていけば人を上手に操れるようになれる、とでもいうかのような本も売っていたりしますが、人はテクニックを使われていると感じると、説得されないものです。自分が人からそのようなテクニックを用いられているところを想像すると分かると思います。


 二つ目は、だからといって、最初からこちらが持っている情報を何もかもさらけ出すということはせず、情報はタイミングを考えて開示していく、ということです。いくら何でも、後先考えずに最初から思ったことを全部話すのは、人と人との関係の中で物事を解決していく過程においては、適切ではありません。


 三つ目は、なるべく新しいアイデアを用いる、という点です。最初から、足して二で割る解決、というのではなく、既存に囚われない、斬新なアイデアがないかな、と常に考えてみることです。


 四つ目は、問題点を整理し、それぞれの解決法のメリット・デメリットを説明することです。


 五つ目には、一方で、相手の感情を察知してよく踏まえることです。

 人間は、損得勘定で動く部分はある一方で、損得では計れない感情で動く部分も非常に大きいですので、理詰めで損得勘定だけで押し切ろうとしてもうまくいかない場合が多いといえます。

 以上を念頭において、いい解決になるもありますが、どうしても駄目な場合というのも少なからずあります。粘り強い交渉、あきらめない交渉、というマインドもときには必要です。ですが、交渉は万能ではなく、交渉だけで物事が全て解決できるなら世の中に裁判制度は要らないことになりますが、実際はそうではありません。交渉で駄目な場合は裁判などの制度の利用を考えることになります。



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